伝統的で自然にやさしい「本ず玉露」を振り返る

昨日、昔フェイスブックにアップした本ず設置体験の記事をブログにアップしました。
ウチのブログサイトで一番アクセスされた記事、実は「本ず玉露や本ず抹茶の覆いになるよしずの作り方」だったりします(2015年2月13日公開当時)。

紅茶の記事を多く書いているイメージがあるので、自分としてはかなり意外です。
たぶん「よしずの作り方(編み方)」を詳細に書いている点が参照される理由なんだと思います。

本ず玉露とは、伝統的な天然素材である藁とよしずを使って覆いをして栽培した茶の木の葉っぱを摘んで、煎茶の製法で針状に製茶された玉露です。
本ず玉露には、藁とよしずが必要なんです。

京都宇治茶房山本甚次郎さん(リンク先は店舗の写真)で話を伺ったところ、本ず玉露の藁の確保は大変みたいです。(Instagramされてます。)
田んぼをされたり、藁を自分ところ以外の農家さんから分けて貰ったりして集める。
また、藁の予備を倉庫に確保している。
天候により、想定より多く必要になる年もあるから。
藁は棚を崩すときに、そのまま茶畑に落として肥料にする。(肥料にする話は本に書いてあった話)

棚に敷いたよしずの上に藁を振ります。
よしずを編むのに使う黒い化学繊維の縄は、太めなので、ヨシの隙間から、風が吹くと藁が上から茶の木に落ちていきます。
光を遮る遮光率は、本ずに寒冷紗も似ているそうですが、湿度が本ずを真似できないと伺った覚えがあります。
藁が落ちて、葉っぱの上に載ることも、本ず玉露や本ず抹茶の香味に影響して関係しているのかも知れません。
ところで、上記では藁を振ると記載しましたが、藁を振る代わりに、藁を編んでシート状にした筵(むしろ)で覆いをする地域もあるそうです。

よしずについては、既に記事にしているので、書いてないことを思い出すと。
滋賀県近江八幡市の権座のヨシ刈りで伺った話ですが、ヨシを刈って乾燥させます。
その後は、野焼きをすると言われていました。
そうしたら、次の年、良いヨシが生えてきて刈れる。
この循環をしているから、生態系が豊富(たくさんの種類の植物や動物がいる)とのこと。

京都市内では、川辺で野焼きを以前は行っていたが、一度非常に煙が発生してしまって、交通渋滞が発生した。
そのため、野焼きが中止になり、野焼きを復活させる運動をしているとのこと。
(ヨシ刈りの参加者に運動メンバーがいらっしゃったので、話してくださいました)。

さて、玉露でも上記の本ず玉露とは違い、覆いを化学繊維の寒冷紗で光を遮って栽培される玉露もあります。

寒冷紗の方が丈夫で、コストはかからないのですが、土に還るという話は聞いたことが今のところありません。
なので、自然環境が循環するという話にはならないと思います。

上記を書いた直後に研究がされているのを思い出しました。現在利用されている寒冷紗は、黒寒冷紗。
椰子の成分を使った茶色の寒冷紗が研究されています。
これだと、土に戻るのかも知れません。
(京都府の茶業研究所のページに「平成26年度茶業研究所研究報告会」の資料などが掲載されました。面白い内容がありそうです。)

さて、おしまいに近くなりました。
どういうことが書きたかったかというと、伝統的な本ず玉露と普通の寒冷紗の玉露とはどう違うのか、ということ。一つの答え方として、筆者が触れて知ったことから思うのは、本ずの方が自然にやさしく関係が深いと思うよ!と。

ところで、何かをするときに、理由が一つじゃなくて複数ある、と聞いたことがあります。
このブログの記事を読まれた方が、本ず玉露に出会った時、手に取ってみようと思う理由の一つが、この記事であったらうれしいです。

これで、この記事は終わりです。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

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